高血圧外来

現在、高血圧症患者数は日本に2~3千万人いると言われ、いわゆる生活習慣病の一つです。高血圧が長期にわたって続くと、血管が硬く、細くなる動脈硬化を引き起こし、ゆくゆくは心筋梗塞や脳梗塞などを突然発症するリスクとなります。
他の生活習慣病の糖尿病やコレステロールや中性脂肪が高くなる高脂血症と同様、通常は症状に乏しく、放置されやすい病気です。まさに、サイレントキラー/静かなる暗殺者と言えると思います。

高血圧とは?

■高血圧はなぜ起こるのか?

まず、生活習慣病と言われるように塩分の摂りすぎが血圧を上昇させる大きな要因となります。また食生活の欧米化、運動不足などによる体重の増加や加齢、遺伝的要素、喫煙など複数の要因で発症すると考えられています。

高血圧を放置してしまうと・・・
高血圧を放置してしまうと、基本的に血管の障害を引き起こします。その障害を受けやすい場所は、心臓、腎臓、脳が代表です。高血圧は普段はほぼ無症状ですが、いざ上記の臓器が障害されると場合によっては命にかかわることも少なくはありません。具体的に言うと心臓であれば狭心症や心筋梗塞、腎臓では腎硬化症、脳では脳梗塞、脳出血などを発症する可能性があります。これまでの研究により臓器の障害は、血圧がより低い方が防げることがわかってきており、近年は、以前の高血圧の基準より低く細かくなっております。診察室で測定した血圧が140/90mmHg以上、家庭で測定した血圧が135/85mmHg以上であれば高血圧症と診断されます。血圧のコントロールの目的は、何より動脈硬化の予防、さらには心筋梗塞や脳梗塞等の発症を予防することであり、これによって健康寿命を延ばすことにあります。

■高血圧の治療

高血圧の治療についてご説明します。治療は基本的に二つです。
一つは、生活習慣の改善、そして二つ目は薬物療法となります。
●生活習慣の改善
塩分制限:日本人の塩分摂取量は、地域差もありますが、昔は15-20gとかなりの摂取量であったため、脳卒中になる人も今の10倍ほどありました。しかし、昭和62年頃には、一旦11.7gまで減りましたが、最近は再び増加しています。その原因は、主に食生活の欧米化と考えられます。塩分制限は1日に6g程度を目標にします。
体重管理:体重のコントロールに関しては、基本的には食事療法、運動療法を中心に行います。また標準体重は22×身長(m)の2乗で計算します。様々な研究結果から22(BMIと言います)という数字が、病気になる確立が最も低いということで導き出されました。近年は、体内の脂肪の分布に関しても研究が行われており、いわゆる内臓脂肪型の人は、より注意が必要とされています。標準体重に関しては、上述のBMI(Body Mass Index)という指標がよく使われます。
BMIは22が理想的です。BMIが25以上になると生活習慣病を発症するリスクが2倍になると言われています。

●運動:運動療法には血圧を下げる効果があることが分かっています。運動の種類としては歩行、軽いランニングなどの有酸素運動が効果的です。また軽い筋トレなどレジスタンス運動も有効です。こうした運動は継続が大事であり、できれば毎日続けることが重要です。

●喫煙:タバコは、動脈硬化の最も強力な危険因子の一つであり、またがんの発症とも密接に関係しています。喫煙に関してはデメリットが大きすぎるため、なるべく禁煙するのがよいでしょう。

●薬物療法
高血圧に対する薬物療法は、利尿剤、Ca拮抗薬、α、β遮断薬、ACE阻害剤、ARBなど多種類あり、これらを適宜組み合わせて血圧をコントロールします。