アレルギー性結膜炎とは?

アレルギー性結膜炎とは、アレルギー性結膜疾患の1つです。アレルギー性結膜炎のうち、季節によって症状が出現するものを季節性アレルギー性結膜炎(seasonal allergic conjunctivitis:SAC)といいます。なかでも花粉が原因のものを花粉性結膜炎とも呼ばれ、市川ピースクリニックで目薬を処方する場合はほぼ全例、花粉性結膜炎に限定されます。
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アレルギー性結膜炎の疫学

アレルギー性鼻炎と同様、スギ花粉による季節性アレルギー性結膜炎の患者様数は増加しており、発症年齢も若くなっていることが知られています。また、アトピー性皮膚炎、気管支喘息など全身のアレルギー疾患の重症化とも関連していることがわかっています。

アレルギー性結膜炎の症状とは?

典型的な症状としては眼の痒み、充血、眼脂、流涙、異物感などです。眼の痒みは最も重要な症状です。日本眼科医会アレルギー眼疾患調査研究班の調査ではアレルギー性結膜疾患の自覚症状で、目の痒みは90%以上にみられたとの報告もあり、診断根拠としても重要です。
また季節性アレルギー結膜炎の場合にはアレルギー性鼻炎の合併が約70%に認められるともいわれています。

正しい予防法は?

花粉などの抗原に曝されないようにする点では、アレルギー性鼻炎と同じです。例えば、着る服はナイロンのようなつるつるの生地にしたり、部屋に入る前に服をはたくなどを行う必要があります。
目に関しては、以下を注意してください。

  • 鼻炎ではマスクをつけることで抗原の曝露を防止できますが、結膜炎では花粉防御用眼鏡の着用が重要です。現在は、おしゃれなタイプも出ているので検討してみましょう。
  • コンタクトレンズを装用している方は、眼鏡に変更するようにしましょう。
  • 人工涙液による洗眼が有用と考えられています。洗眼する場合は、1回数滴、できるだけ頻回に点眼することが望ましいです。しかしいくつか注意点があります。
  1. その1:防腐剤が入っていない人工涙液を選ぶ。
  2. その2:水道水は頻回の洗眼では使わない。
  3. その3:最近市販されているカップ式の洗浄器具薦められない。

その3の理由としては、眼周囲の皮膚の汚れや皮膚に付着した花粉などの抗原をかえって眼表面に接触させることになるからです。また防腐剤も入っていることが多くその1の観点からもお勧めできません。

治療法は?

季節性アレルギー性結膜炎の基本は、抗アレルギー薬です。これは、アレルギー性鼻炎と同様です(詳しくは鼻アレルギー診療ガイドライン概説をご参照ください)。

市川ピースクリニックでは抗アレルギー薬の点眼薬の取り扱いはありますが、ステロイドの点眼薬は取り扱いをしておりません。ステロイドの点眼薬は眼圧の上昇などの副作用を生じることがあるため、定期的に眼圧を測るなど眼科専門医に任せています。点眼薬を使用したことがない人や、毎年抗アレルギー薬の点眼薬でコントロール可能な患者様は受診時にお申しつけいただければ抗アレルギー薬の点眼薬をご処方いたします。

点鼻薬が目の症状を緩和するという報告もあります。理由としては、鼻腔内でのアレルギー反応を抑制することで眼症状が改善する可能性が考えられています。
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舌下免疫療法による治療効果は?

スギ花粉に対する舌下免疫療法によってアレルギー性結膜炎の症状を改善することも証明されています(詳しくは舌下免疫療法の項をご参照ください)。

耳鼻科?眼科?

上記の理由から以下の場合には眼科を受診することをお勧めします。

  • 季節性でなく、年中目の痒みなどの症状がある場合
  • 耳鼻咽喉科での治療に加えて、抗アレルギー薬の点眼薬で症状が改善しない場合

目薬のさし方

点眼薬を使用しているのに症状が改善しない患者様の中には正しく目薬が使用できていない場合があります。正しい目薬の使い方をご説明します。
涙はまばたきによって目頭の方へ集まって、涙点(るいてん)・鼻涙管(びるいかん)を通ってのどの方へと流れていきます。
そのため、目薬をさしたら涙点からのどに流れ出ていかないように、まぶたを閉じて、目頭を軽く押さえます。
お子様へ点眼をうまく行えない(目に直接さすのが難しい)場合は、目を閉じて目頭に数滴滴下します。その状態で一度目を開けて再度目を閉じ、目頭を軽く押さえます。
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まとめ

花粉症をはじめとするアレルギー疾患は、目や鼻など1つの科では対応できない場合があります。まずはアレルギー科を標榜している市川ピースクリニックでご相談ください。