鼻アレルギーガイドライン概説

鼻アレルギー診療ガイドラインの最新版は2016年(改訂第8版)となっております。内容について簡単に解説していきたいと思います。そもそもどんなガイドラインも、ガイドラインがすべて正しいということではなく、あくまでも診療の参考にすべきものという立ち位置なのは覚えておく必要があります。
では実際に記事を見ていきましょう。

アレルギー性鼻炎の定義とは?

花粉症・アレルギー性鼻炎の説明は「花粉症・アレルギー性鼻炎」にもありますのでご参照ください。
アレルギー性鼻炎や花粉症というとどんな症状を思い浮かべるでしょうか?
くしゃみ・鼻水・鼻詰まり
すよね。これがアレルギー性鼻炎の3主徴です。
アレルギー性鼻炎は大きく2つに大別されます。1つが、ダニやハウスダストといった年中抗原が存在する場合を通年性アレルギー性鼻炎、もう1つがスギ花粉などのように決まった時期に症状が現れる季節性アレルギー性鼻炎です。

アレルギー性鼻炎の検査とは?

視診:アレルギー性鼻炎患者様の典型的な鼻の中は、粘膜が青白くなってむくんでいて、透明な鼻水が診られます。ただし、花粉症では赤くなっていることもあるため、鼻風邪などとの鑑別が難しいこともあります。
好酸球検査:好酸球とはアレルギーを知る重要な要素です。一番重要なのは鼻水の中の好酸球量ですが、採血で確認することもあります。採血の場合には、他の疾患で高い数値になっていたり、花粉症だけだと正常範囲になってしまうことがあります。
皮内テスト:皮内テストにもいくつかありますが、当院ではスクラッチテストという方法を採用しています。スクラッチテストは、前腕にひっかき傷を作り、そこに抗原の可能性となりやすい液体を垂らします(例えばスギやダニ)。アレルギーがある場合は、その部位が赤くかゆくなります。
特異的IgE抗体定量:採血で調べるアレルギーの検査です。

アレルギー性鼻炎の治療とは?

以下の図をご覧ください。

鼻アレルギーガイドライン概説

この画像で重要な点をご説明します。

●中等度以上は「くしゃみ・鼻汁型」と「鼻閉型」に分かれている

くしゃみと鼻汁は相関性が高いことがわかっています。つまりくしゃみがひどいと鼻水もひどくなるということです。しかし鼻詰まりは、くしゃみや鼻水がひどいかどうかとそれほど相関しないため、治療方針が異なります。

●治療に関して、初期治療から最後の治療までほぼすべてで推奨されているのがステロイド点鼻薬と第2世代抗ヒスタミン薬である

ステロイド点鼻薬に関しては、目にも効果があり、副作用も少ないことから初期の段階から推奨されています。
第2世代抗ヒスタミン薬とは、世の中で花粉症の薬と考えられている薬の大半です。
アレルギー性結膜炎に関しては、アレルギー性結膜炎の項をご参照ください。

●重症にのみ点鼻用血管収縮薬が記載されている

点鼻用血管収縮薬とは、腫れた鼻粘膜を縮めてくれるためすっきりします。しかし、耐性があり、最初は1回で数時間効果があったのが、乱用しすぎると数十分もすると効果が切れてしまい、更にはずっと点鼻薬をしていないと鼻がつまってしまうということになりかねません。市販されている点鼻薬にも含まれていることがあるので、点鼻薬は病院で処方してもらうことをお勧めします。

●アレルゲン免疫療法

詳細は舌下免疫療法という項をご参照ください。

さいごに

ガイドラインでは、治療の最も重要なこととして、症状がひどくなる前に治療を開始することであると説明しています。
そのため花粉症の場合には飛散予想時期の1週間前や、症状が少しでも出現したら治療を開始することをお勧めしています。
このように花粉症にも様々な治療の選択肢があるため、アレルギー性鼻炎かもしれないと感じたら一度市川ピースクリニックにご相談ください。