アナフィラキシーショックとは?

アナフィラキシーショックで一番最初に思い起こすのは、蜂によるアナフィラキシーショックではないでしょうか。蜂に2回刺されたら死ぬという話は誰から教わるわけでもなく、大半の人が聞いたことがあると思います。
そもそもアナフィラキシーショックとは何なのでしょうか。
アナフィラキシーショックとは、体が拒絶反応を起こす物質であるアレルゲン(例えば蜂なら蜂の毒)などが体内に摂取された際に、複数の臓器でアレルゲンに対する過敏な反応が生じることで血圧低下や意識障害を起こしてしまうことです。つまり体が過剰な拒絶反応を起こした結果、血圧が低下してしまったり意識を失うという重篤な症状が生じることです。

アナフィラキシーショックの頻度は?

花粉症の人は沢山世の中にいるのにスギ花粉でアナフィラキシーショックになったという話はほとんど聞いたことがないですよね。実際2001年から2013年までの日本でアナフィラキシーショックによる死亡数の中で最も多いのは、医薬品であり、次が蜂であると厚生労働省の統計で発表されています。その二つが全体の76%以上であり、その次が食物で5%、その他が17%となっています。
アナフィラキシーショック01

アナフィラキシーの発症機序とは?

アレルギーは大きくⅠ型からⅣ型に分類されます。アナフィラキシーの多くはⅠ型によるものです。Ⅰ型アレルギーとは、IgEという免疫機構が関与しています。体内に抗原が入ってくると、その抗原を攻撃するための抗体を作ります。この抗体の代表が、IgE抗体です。再び同じ抗原が入ると、抗原をIgE抗体などを使って攻撃をします。その反応が過剰になった状態をアナフィラキシーといいます。そして、アナフィラキシーの結果、血圧が下がってしまったり命の危機が迫ることをアナフィラキシーショックといいます。

アナフィラキシーの症状は?

一番注意が必要な症状は呼吸困難です。アナフィラキシーになると、粘膜が腫れてしまうことがあります。のどの粘膜が腫れてしまい、呼吸困難になってしまうことがあります。最悪窒息で死に至ることもあります。
そのほかに典型的な症状としては、じんま疹、紅斑、めまい、腹痛、下痢、意識障害などがあげられます。
アナフィラキシーの最初の症状は皮膚症状が8〜9割であるとの報告もあります。
アナフィラキシーショック02
出典元:Mylan社

症状はどれくらいで出現するの?

アナフィラキシーには大きく分けて4種類のタイミングがあります。

  1. 即時型:抗原によっては5分から30分程度で心臓が止まってしまうこともあり、抗原が体内に侵入してから30分は特に注意が必要です。
  2. 二相性:一度よくなった後に時間をおいてから、再度アナフィラキシー症状が出現するというものです。成人では約2割、小児では約1割で二相性アナフィラキシーが生じるといわれています。
  3. 遅発型:6〜8時間後に症状が出現します。
  4. 遅延型:24〜48時間後に症状が出現します。まれに72時間経過してから発症したという報告もあります。

治療法は?

急な体位変換をきっかけに症状が悪くなることがあるので、急な動作は行わないように注意してください。
一番いい体勢は、仰向けで足を上げます。
必要に応じて、酸素投与や薬剤の投与を行います。

予防法は?

アナフィラキシーの既往がある患者様は定期的に専門医に診てもらうことが再発予防に重要とされています。
またエピペンという治療薬を常時持参する必要があることもあります。市川ピースクリニックのような専門病院でご相談ください。

注意点は?

  • 気管支喘息の存在はアナフィラキシーがひどくなる危険因子です。またアレルギー性鼻炎などのアレルギー疾患もアナフィラキシーの危険因子なので、日頃からコントロールをしておく必要があります。
  • 精神的ストレスや風邪などの体調不良、運動、月経前などアナフィラキシーを増悪させる要素がありますので、舌下免疫療法のようなアナフィラキシーのリスクがある医薬品を使用する場合にはアレルギーを熟知している市川ピースクリニックでご相談ください。(舌下免疫療法については、“舌下免疫療法”の項をご参照ください)