はじめに

子供によっては学校をお休みできるのは嬉しいと思うかもしれませんが、大人が同じ病気にかかると思いがけない重篤な症状を引き起こすこともあるので詳しく説明していきます。

規則はどうやって決まっているの?

学校保健安全法という決まりがあり、昭和33年に法律で定められました。その中では、健康診断など学校における健康に関する決まりが規定されています。その中で決まった病気にかかるとある一定の条件を満たすまで出席をしてはいけないとされています。
大人は学校ではないので、出勤停止期間の義務はありませんが、多くの企業は学校保健安全法に則して出勤停止期間を決めているところが多いです。
では代表的な疾患で、耳鼻咽喉科に関係ある病気を見ていきましょう。

インフルエンザ

出席停止基準:発症後5日、かつ、解熱後2日(幼児3日)が経過するまで

学校保健安全法で出席停止が決められている一番なじみの深い感染症でしょう。詳しくは、インフルエンザとは?をご参照ください。

小児と大人との違い

抗インフルエンザ薬を投与することで異常行動などの有害事象が生じる可能性がある点です。しかし、実際には上記薬剤を使用しなくても異常行動は認められ得るので発熱から2日間は特に注意が必要です。
もう一点は解熱鎮痛剤ですが、インフルエンザ脳炎・脳症との関連性が否定できないためロキソプロフェンなどのNSAIDsではなく、アセトアミノフェンの使用を徹底することが重要です。

流行性耳下腺炎

出席停止基準:耳下腺、顎下腺または舌下腺の腫脹が出現した後5日を経過し、かつ、全身状態が良好となるまで

原因:ムンプスウイルス

  • ワクチンの有無:あり(任意接種)
  • 症状:発熱と耳下腺(顎下腺や舌下腺もまれに)が腫れる病気です。基本的には左右どちらも腫れることが多いですが、片側だけのこともあります。
  • 合併症:髄膜炎、膵炎、精巣炎、難聴など(特に難聴は改善しないため注意が必要)
  • 治療:対症療法(解熱鎮痛薬や脱水の補正)
  • 再発:一度かかると生涯罹患することはほぼない
  • 小児と大人との違い:大人も子供同様にかかります

小児感染症01

麻疹(はしか)

出席停止基準:解熱した後3日を経過するまで

原因:麻疹ウイルス

  • ワクチンの有無:あり(定期接種)
  • 症状:発熱や咳が出た後に発疹が出現
  • 合併症:肺炎や脳炎など(死亡することもあり注意が必要)
  • 治療:対症療法(解熱鎮痛薬や脱水の補正)
  • 再発:麻疹発症者や予防接種接種者は感染する可能性はほぼない
  • 小児と大人との違い:大人が罹患した方が重症化しやすい

小児感染症02

風疹

出席停止基準:発疹が消失するまで

原因:風疹ウイルス

  • ワクチンの有無:あり(定期接種)
  • 症状:頚部リンパ節腫脹や微熱の後に発疹
  • 合併症:まれに脳炎、血小板減少性紫斑病など
  • 治療:対症療法(解熱鎮痛薬や脱水の補正)
  • 再発:一度かかると生涯罹患することはほぼない
  • 小児と大人との違い:妊婦が感染すると胎児が先天性風疹症候群に罹患する可能性あり。

先天性風疹症候群とは、難聴、心疾患、白内障、精神や身体の発達遅滞の可能性があります。出生時に全ての症状があるとは限らず、時間がたってから難聴などがわかることもあります。

小児感染症03

咽頭結膜熱(プール熱)

出席停止基準:主症状が消失した後2日を経過するまで

原因:アデノウイルス

  • ワクチンの有無:なし
  • 症状:高熱、のどの痛み、目が赤くなる(結膜熱)
  • 合併症:脳炎、髄膜炎、肺炎など
  • 治療:対症療法(解熱鎮痛薬や脱水の補正)プールの塩素濃度が重要
  • 再発:アデノウイルスは様々な種類が存在するため何回もかかり得る
  • 小児と大人との違い:大人も子供同様にかかります

小児感染症04

手足口病

出席停止基準:発熱や喉頭・口腔の水疱・潰瘍を伴う急性期は出席停止、治癒期は全身状態が改善すれば登校可

原因:コクサッキーウイルスやエンテロウイルス

  • ワクチンの有無:なし
  • 症状:手・足・口の中の水ぶくれ
  • 合併症:脳炎や髄膜炎、心筋炎やギラン・バレー症候群など
  • 治療:対症療法(解熱鎮痛薬や脱水の補正) 
  • 再発:小学校入学前に免疫を獲得していることが多いが、原因ウイルスは複数存在するため再発し得る
  • 小児と大人との違い:大人が罹患した方が重症化しやすい

小児感染症05

ヘルパンギーナ

出席停止基準:発熱や喉頭・口腔の水疱・潰瘍を伴う急性期は出席停止、治癒期は全身状態が改善すれば登校可

原因:主にエンテロウイルス

  • ワクチンの有無:なし
  • 症状:発熱、口腔内の痛み、のどの腫れ(水ぶくれや潰瘍)
  • 合併症:無菌性髄膜炎、急性心筋炎など
  • 治療:対症療法(解熱鎮痛薬や脱水の補正)
  • 再発:小学校入学前に免疫を獲得していることが多いが、原因ウイルスは複数存在するため再発し得る
  • 小児と大人との違い:大人が罹患した方が重症化しやすい

小児感染症06

その他

その他にも耳鼻咽喉科で関わりがあり得るものとしては、百日咳、結核、溶連菌感染症やマイコプラズマ感染症なども挙げられます。

まとめ

いかがでしょうか?学校に出席できなくなる病気は耳鼻咽喉科で扱う病気がこんなに多いことがわかっていただけたかと思います。
鼻やのどの不調をきたした場合にはお気軽に市川ピースクリニックでご相談ください。