副鼻腔炎外来
副鼻腔炎というと蓄膿症を思い浮かべるのではないでしょうか。蓄膿症を慢性副鼻腔炎といいますが、いわゆる鼻風邪である急性副鼻腔や、難病指定されている好酸球性副鼻腔炎など様々な病気を総称する名称です。鼻は空気の通り道であることから、副鼻腔炎の増悪が喘息の増悪や発症を引き起こしたり、慢性的な嗅覚障害を起こしてしまうこともあります。鼻が悪いと口呼吸になり、睡眠時無呼吸や口臭など様々な症状や病気を引き起こすこともあります。万病の元にもなりえるため、たかが副鼻腔炎と思わず、しっかり治すことが重要です。
鼻の構造について
鼻の中を鼻腔と言いますが、鼻腔の中はいくつかのパートに分かれています。まずは左右を分ける鼻中隔、さらに上中下の鼻甲介という構造物で構成されています。においを感じる部位は上鼻甲介よりもさらに上の一番上の位置にあります。(詳細は嗅覚障害の項をご参照ください)。
副鼻腔とは、鼻腔内に通じる4つの空洞の名称で、前頭洞・篩骨洞・蝶形骨洞・上顎洞といいます。役割ははっきりとはしていませんが、声の共鳴や眼が圧迫された際の緩衝作用などが考えられています。
急性副鼻腔炎とは?
急性副鼻腔炎とは、いわゆる鼻風邪です。ウイルスや細菌による感染が鼻腔内から広がり、副鼻腔の中が膿で満たされた状態です。上述のように副鼻腔といっても4個、左右で合計8カ所ありますのでどの部位が感染するかによって症状は異なります。主な症状としては、鼻汁や鼻づまり、嗅覚障害、それと後鼻漏です。後鼻漏とは、副鼻腔からあふれ出た膿がのどの方にたれ込んでしまう症状です。重症の場合には、頬部痛や頭痛、眼の奥の重い感じなどを自覚されることがあります。
主な治療としては、抗生物質などの投薬治療です。しかし抗生物質もむやみやたらと使うのはよくないので、できるだけ処置をして膿を吸い取ってあげることが重要です。
以下のサイトから閲覧することができます。急性副鼻腔炎診療ガイドライン-2010年版-
慢性副鼻腔炎とは?
よく耳にする蓄膿症とは、副鼻腔炎でも慢性副鼻腔炎のことを指します。1ヶ月程度してもよくならない鼻風邪は、蓄膿症に移行している可能性がありますので注意が必要です。
慢性副鼻腔炎が進行すると、鼻の粘膜が膨れて水風船のようになるポリープを形成することがあります。まずは内服治療や処置を行います。それでも症状がよくならなかったり、ポリープが残っているようであれば手術治療を検討することになります。
歯性上顎洞炎とは?
副鼻腔炎の一種ですが、原因は鼻風邪ではなく虫歯などの歯の炎症です。上顎洞という副鼻腔の底面は、上顎の歯根部と接近しているため、歯や歯根の炎症が上顎洞に波及してしまって上顎洞に炎症や膿を作ってしまいます。そのため原因となっている歯や歯根の治療は必須です。歯の治療と並行して鼻の治療も行っていく必要があります。
好酸球性副鼻腔炎とは?
副鼻腔炎の中でも治療抵抗性の高い副鼻腔炎です。好酸球性副鼻腔炎の特徴としては、喘息を合併しやすい点や嗅覚障害を伴いやすい点などが挙げられます。内服治療では中々症状が改善せず手術になることも多いです。しかし再発率も高いため、手術の後も内服などの治療を続けていく必要があります。このような経過から好酸球性副鼻腔炎は現在、厚生労働省から難病指定疾患として認められています。詳しくは耳鼻咽喉科でご相談ください。