小児喘息の患者様は増えている?

ある調査によると1960年代の小児喘息罹患率は0.7%という結果であり、現在の1/10以下である。高度経済成長のための大気汚染などが影響したのではないかと考えられていましたが、環境対策を行った後も喘息患者は増え続けていました。2011年をピークに減少傾向ではありますが依然高い罹患率です。減少傾向の理由として喘息治療のガイドラインが策定され、標準治療が確立したことも要因の一つと考えられています。実際に小児喘息による死亡率も激減しました。

喘息になりやすい年齢は?

小児喘息の発症は3歳までが約80%、6歳までに約90%を占めるとされています。

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小児喘息の主な原因は?

喘息には、アレルギー性と非アレルギー性のものがあり、成人の多くは非アレルギー性です。小児喘息のほとんどは、ダニや花粉などがきっかけとなっておきるアレルギー性の気管支喘息です。

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小児喘息の症状は?

喘息の症状が小児も成人も呼吸困難です。代表的な症状は“ヒューヒュー”という呼吸をすることです。喘鳴と呼ばれますが、日中に比べて夜間や明け方に症状がひどくなりやすいのが特徴です。そのため、親御様の観察が重要になります。
乳児は喘鳴の判断が難しいことも多いです。また小児喘息では、運動した後や風邪をひいたときにも同様の症状が現れることがあるので、長引く咳や痰が続く場合には是非市川ピースクリニックでご相談いただければと思います。

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小児喘息にはどんな種類があるの?

概ね15歳までに発症する気管支喘息のことをいいます。約30%が小児喘息から成人の喘息に移行するといわれており、症状が消失した小児喘息患者の 30%弱が成人になって再発するといわれています。
成人の喘息は気管支喘息とは?の項をご参照ください。

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アレルギー性鼻炎と喘息の関係は?

鼻炎は喘息と同じく空気の通り道のアレルギー疾患であるため、密接な関係があるとされています。実際に鼻炎があると喘息に罹患する確率は増加し、さらに鼻炎が重症なほど重症な喘息を併発する率が高くなることがわかっています。そのため喘息の治療だけでなくアレルギー性鼻炎の治療を行うことで喘息のコントロールも良好になるとの報告もあります。喘息のコントロールも大切ですが、花粉症や通年性のアレルギー性鼻炎の症状がある患者様は鼻症状を治療することも重要です。

喘息と免疫療法の関係は?

アレルギー性鼻炎の治療をすることで喘息も改善する可能性があることはすでに述べました。昨今アレルギー性鼻炎の治療で舌下免疫療法が注目を集めていますが、喘息にも効果があるのでしょうか?アレルギー性鼻炎における免疫療法にて、喘息発症が優位に減らすことができたとの報告もあり、喘息を発症しないようにするためにも免疫療法を検討することをお勧めします。
免疫療法に関して詳しくお知りになりたい方は、舌下免疫療法の項をご参照ください。

その他に気をつけることは?

実は肥満が喘息に関係しているとも言われています。肥満があると、喘息になるリスクを高めるだけでなく、喘息が発症した後に重症化しやすかったり、コントロールが悪くなることもあるとされています。そのため、肥満があると感じる場合には体重のコントロールを意識することも重要です。

最後に

小児気管支喘息は、自然に治ることもありますがしっかりと治療を行うことが重要です。喘息のコントロールのためにもアレルギー性鼻炎、風邪をこじらせないなど耳鼻咽喉科が担う責務も大きいことがわかっていただけたと思います。長引く咳やアレルギーなど気になる症状がありましたら市川ピースクリニックで是非ご相談ください。