外耳道異物とは?
耳の中にものを入れてしまうのは、子どもに多いです。しかし大人でも外耳道異物が生じる場合があります。
子どもの多い異物は、おもちゃです。僕が経験したのは、自分の耳に入ったおもちゃを助けるために、次のおもちゃを入れて、を繰り返してしまったという症例でした。
また大人子ども問わずに寝ているときに虫が入ってしまったという症例も存在します。
外耳道の構造について
外耳道とは、外側3分の1を軟骨部、内側3分の2を骨部といいます。その奥に鼓膜があります。骨部は触れるだけで痛みを感じます。
外耳道異物の診断について
耳に入った異物がおもちゃなどの場合には、耳内を見れば容易に診断できます。しかし耳に虫が入っている可能性がある場合には注意が必要です。我々が耳内を確認するときに使う顕微鏡は光を当てます。虫が光を嫌う種類ですと、光から逃げようとして鼓膜の方に進んでしまい、鼓膜を傷つけてしまう可能性があります(詳しくは下記の鼓膜穿孔をご参照ください)。
受診時に、虫が疑わしい場合には事前に伝えるようにしましょう。
外耳道異物の治療方法とは?
外耳道の異物を自分で取ろうとすると、耳の奥にどんどん入ってしまって、はまり込んでしまうことがあります。無理に自分で取ろうとせずに早めに耳鼻科で摘出してもらうようにしましょう。外耳道にはまってしまって摘出できない場合には全身麻酔で手術になることもあります。
また、虫が原因の場合には、麻酔液を滴下し、虫を殺してから摘出します。しかし鼓膜に穴が空いている場合には耳内に麻酔薬を入れると、めまいを起こしてしまったり、耳の聞こえを障害してしまう可能性があるので、オリーブ油を耳の中に入れて虫を殺してから摘出します。
鼓膜穿孔とは?
鼓膜の構造について
鼓膜とは、耳の入り口から3.5cmくらいの深さで9mm程度の大きさで0.1mm程度の薄い膜でできています。
鼓膜穿孔の原因について
上述のように鼓膜は非常に薄い臓器のため、簡単に穴が空いてしまいます。理由は様々です。
- 耳かき中に子どもが乗っかってきた
- 平手打ちをされた
- 大きな破裂音を聞いた
- 中耳炎で鼓膜に穴を開けた
などが挙げられます。
鼓膜穿孔の症状とは?
外傷された場所によって症状は異なります。
- 耳痛(痛みは短時間で消失することがほとんどです)
- 難聴(伝音難聴か感音難聴)
- 耳鳴り
- めまい
鼓膜穿孔の治療方法とは?
症状によって治療方法は異なります。
伝音難聴の場合にはすぐに治療を必要とすることはありません。鼓膜は自然に再生して閉鎖することがほとんどです。鼓膜が自然に閉鎖しても伝音難聴が継続する場合には、耳小骨という中耳の構造物の損傷がある可能性があります(詳細は難聴の項をご参照ください)。後々手術をして聴力を回復を図ることがあります。
めまいを伴う場合や、感音難聴の場合には早急な手術が必要になることがあります。
外耳道異物・鼓膜穿孔だと思ったら、お早めに市川ピースクリニックへご相談ください
耳の異物はそれほど多く生じることはないと思いますが、鼓膜穿孔の可能性もあるため自分で何とかしようとせずに耳鼻咽喉科を受診するようにしましょう。鼓膜穿孔した場合は、自然と回復することがほとんどです。しかし上述のようにまれに早急な手術が必要な場合もありますので、早めに耳鼻科に相談することをお勧めします。