聴力検査の読み方

聴力検査は誰でも知っていることでしょう。耳鼻咽喉科などで、特に問題ないと言われるだけで、聴力検査の詳しい読み方を教えてもらうことは少ないのではないでしょうか。簡単な聴力検査の読み方をご説明します。

検査は静かな部屋でリラックスして行ってもらいます。当院も自動で行うことが多いですが、できる限り熟練した検査技師が行います。検査では、検査していない方の耳に雑音を流すなどの検査技法が必要になるため、検査する人の技術によって聴力検査の結果に違いが表れます。

まずは以下の表が聴力検査結果を記載するシートです。これをオージオグラムといいます。

よくあるご質問 - 012_1

オージオグラムの見方です。横軸が音の高さを表しています。125・250・500・1000・2000・4000・8000とあります。数字が小さい方が低い音で、数字が大きくなるにつれて音も高い音になっていきます。縦軸が実際に聞こえる音の大きさを表しています。数値が-10から110まで表記されています。聞き取れる最小の音の大きさを表しているため、数値が小さいほど聞こえがいいということを表します。

では実際に聴力結果が記載されているオージオグラムを見ていきましょう。

よくあるご質問 - 012_2

まず、○印(赤)が右耳の聞こえ、×印(青)が左耳の聞こえを表します。○印は実線、×印は破線でつなぎます。これを気導といいます。この症例では×印をつなぐ破線が25dBよりも上にあるので正常範囲内です(最下部参照)。
右耳をみると○印をつなぐ実線が25dBよりも明らかに下にあるのがわかります。そのため難聴があることがわかります。

次に注目すべて点としては、線とは別にかぎかっこがついていることに気がつくはずです。このかぎかっこは、内耳の聞こえを表しているのに対して、先ほど説明した線は、外耳・中耳を経由した音の聞こえです。この内耳の聞こえを骨導といいます。つまり左耳は、外耳・中耳からの聞こえも、内耳の聞こえも同じで、正常範囲といえます。

右耳は、外耳中耳からの聞こえは悪く、内耳の聞こえも悪い。しかし、外耳中耳からの聞こえの方が内耳からの聞こえよりも悪いといえます。この難聴を混合性難聴といいます(詳しくは難聴の項をご参照ください)。

その他にも、外耳・中耳からの聞こえが悪い。内耳の聞こえは正常な場合を伝音難聴外耳・中耳からの聞こえが悪く、内耳の聞こえも悪い。どちらも同程度に悪い場合を感音難聴の3つにの難聴に大別されます(詳しくは難聴の項をご参照ください)。

参考:
– 25dB〜40dB:軽度難聴
– 40dB〜70dB:中等度難聴
– 70dB〜90dB:高度難聴
–  90dB〜:重度難聴
と定義されています。