難聴外来

高齢化が進む日本では、寿命と同時に生命の質(QOL: Quality Of Life)が重要視されるようになっています。耳の聞こえは、安全を守るためにも重要であると同時に他者とのコミュニケーションを活発にすることでQOLに寄与することは言うまでもありません。うつや認知症の予防にもつながり、これからの日本ではさらに重要な役割を担うことになる難聴外来。市川ピースクリニックでは大学で研修を積んだ検査のスペシャリストが在籍しており、適切に聞こえの検査を行うことができます。また副院長は補聴器相談医を取得しておりますので、聞こえが悪いかなと思った時はお気軽に市川ピースクリニックでご相談ください。

難聴とは?

難聴とは、大きく分けて伝音難聴、混合性難聴、感音難聴に分類されます。耳の構造は外耳、中耳、内耳に分けられます(詳細は中耳炎の項をご参照ください)。外耳や中耳が原因で難聴を来すものを伝音難聴、内耳以降が原因で難聴を来すものを感音難聴、そのどちらも原因の場合には混合性難聴と言います。それでは、それぞれの難聴について見ていきましょう。

伝音難聴とは?

伝音難聴で最も多いのは耳あかが耳栓のようになってしまっていること(耳垢栓塞)です。外来に耳が聞こえづらいですと言われてご来院され、耳を見るとぎっしりと耳あかがつまっていることがあります。耳の皮膚も自浄作用といって、汚れを自然と外に出すように働いています。しかし綿棒を奥まで突っ込んでしまうと、外に出ようとしている耳あかを奥に押し込んでしまうことになります。また耳かきなどをすると皮膚が傷ついて炎症を起こし、過剰に耳あかが産生されてしまう可能性もあります。耳掃除をする場合には、少し濡らした綿棒で耳の手前を軽く拭うようにすることがお勧めです。
その他には、中耳炎の項でご説明した滲出性中耳炎や、鼓膜が破れてしまう鼓膜穿孔などが挙げられます。

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感音難聴とは?

上述のように感音難聴は、内耳以降の障害によって生じる疾患です。有名な疾患としては、突発性難聴やメニエール病などが挙げられます。伝音難聴は治りやすい難聴ですが、多くの感音難聴には未だに特効薬と言われる治療薬がないのが現状です。では、よくある低音障害型感音難聴と突発性難聴についてご説明します。

低音障害型感音難聴とは?

低音障害型感音難聴とは、読んで字のごとく低音、つまり低い音の聞こえが障害される難聴です。自覚症状としては、難聴ではなく、耳閉感(耳の詰まった感じ)だけを訴えられる患者様もいらっしゃいます。この難聴は、比較的改善しやすいですが、再発もしやすいと言われています。そのため、めまいを伴わないメニエール病との鑑別が難しい場合もあります(めまいの“メニエール病”の項をご参照ください)。

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突発性難聴とは?

突発性難聴とは、ある日ある瞬間急に耳の聞こえが悪くなる病気です。難聴の程度は人によって異なります。まためまいや耳鳴りなどを伴うこともあります。突発性難聴は、未だに原因のはっきりしない病気であり、決められた治療薬はありません。何もしなくても自然治癒してしまうこともある病気ではありますが、発症してから早く治療した方が治りやすいと言われています。特に2週間以内に治療を開始することが望ましいと考えられています。感音難聴は時間が経ってしまうと治りづらくなってしまうので、少しでも聞こえが変だなと思ったら耳鼻咽喉科を受診することをお勧めします。突発性難聴もメニエール病との鑑別が難しい場合があります(突発性難聴の項をご参照ください)。

混合性難聴とは?

混合性難聴で考えられる疾患は、加齢性難聴や外傷に伴う難聴です。年齢を重ねると、耳の機能も低下してきます。主に内耳の有毛細胞という音を感知する細胞が減少して、特に高い音が聞き取りづらくなります。それに加えて、中耳などの音を伝える機能や鼓膜の動きなども悪くなってしまい、伝音難聴も伴ってしまうことがあります。

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